ビタミンDを飲むと風邪をひきにくくなりますか?
以前は「風邪・呼吸器感染を予防する」と報告されていましたが、最新(2025年)のメタアナリシスでは効果が小さく、有意差ギリギリ(p=0.057)と報告されています。健康な人が予防目的で多めに飲む根拠は弱まっています。一方で、ビタミンD欠乏が確認されている人には依然として恩恵がある可能性があります。
詳しい解説
当初の期待と現在の知見
2017年に Martineau らが BMJ 誌に発表した個別患者データのメタアナリシス(11,321人)では、ビタミンD補充が急性呼吸器感染症のリスクを低下させると報告されました。これが「ビタミンDは風邪に効く」というイメージの根拠になりました。
しかし、その後の研究蓄積を経て、結論は変わりつつあります。
- Jolliffe ら 2021年 (Lancet Diabetes & Endocrinology): 46 RCT・75,541人。OR 0.92(95% CI 0.86–0.99)と統計的に有意ではあるものの「効果は小さい」と結論
- Jolliffe ら 2025年(最新更新): 大規模試験(n=15,804)を含む追加6試験を統合。OR 0.94(95% CI 0.88–1.00)、p=0.057 と有意差が消失
- Cho ら 2022年 (Nutrients): 30 RCT・30,263人。RR 0.96 で有意差なし
どう解釈すればよいか
- 健康で食事も問題ない人: 風邪予防のためにビタミンDを大量に摂る根拠は弱い
- ビタミンD欠乏が確認されている人: 補充により呼吸器感染リスクが下がる可能性は依然ある
- 小児(1〜15歳): 過去の解析では効果が比較的明確だったが、最新研究で再検証が必要
量とリスク
効果が見られた研究の多くは 1日400〜1,000 IU(10〜25 μg) の連日投与でした。大量を一度に飲む(ボーラス投与)方法は効果が低いと報告されています。脂溶性ビタミンのため過剰摂取で蓄積し、高カルシウム血症のリスクがあるため、健康診断で血中25(OH)D濃度を確認したうえで医師と相談するのが安全です。
